仲間に迷惑はかけられないと躊躇していたが、リーダーと仲間に力強く背中を押していただき、決心をして参加した。
ここ数年、日帰りの山行ばかりで民宿泊が多く、山小屋泊まりは数年ぶりで、そのため体力に自信がないのである。
CLは私たち60代に合った内容を計画すべく、希望を聞きながら何回も検討して下さった。
期待と不安を内にして出発した。

一日目(晴れ)
大町にある真新しい一棟建てのログハウスで、コンドミニアムタイプの部屋が今夜の宿である。ウイークデーのこの日は周りに人影もなく静寂そのもので、二階建て、庭とベランダ付きの十分な広さは快適そのもので、途中のスーパーで仕入れた食料品に手を加えたディナータイムは、楽しく大いに盛り上がった。明日は大丈夫かな?  
早目の就寝 

二日目(快晴)
リーダーが車の回送手配を済ませ、扇沢駅始発7:30のトロリーバスに乗車。
出発口の黒部ダムを8:00にスタートする。河原に下り黒部川にかかる簡単な一枚板の橋を渡ると黒部ダムを上に仰ぎ見る所に来た。丁度放水中で迫力満点であった。
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左岸に渡ると遥か彼方に、これから進む道が切れおちた岩壁の途中に、一筋の線のように見える。
激流の音がすごくて、話し声がかき消されてしまう。鳴沢五段のナメ滝を見ながらガレ場を通過。渦巻く激流を右に見ながら緊張して歩く。つまずいたら一巻の終わりだ!!
情報では「黒部別山谷出合から更に上流にあった残雪も、通行に支障無くなり、黒部ダムから阿曽原まで通り抜け出来る状況になった」とのこと。
 9月上旬に雪渓の高巻きもなく通れるようになるのはかなり珍しいことらしい
岩に張り付くように垂直に取り付けられた梯子を上る。
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黒部別山谷出合谷に着く。岩間から流れ出る水に手を浸して一瞬緊張がほぐれて一息。イメージ 6

大へつりからは岩壁をくりぬいた道で番線を頼りに歩を進める。
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所々で数本の丸太を組んだだけの橋が渡してあり、白竜峡~十字峡~半月峡と緊張しながらも、ほぼ計画通りに淡々と通過してゆく。

鋭角に切り立った谷底では白い波が渦巻くようにして流れる黒部川が見える。
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右岸の途中に白い入口の黒四発電所が見えてきた。
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東谷つり橋を一人一人ゆっくりと渡り右岸に出た。朝8時に左岸に渡って以来である。林道を歩くみんなの背中に安心感が漂う。硫黄の臭いと熱い蒸し風呂の様な髄道を抜け、仙人ダムの堰堤上を歩いて、広い関電の人見平宿舎前に出た。
今日初めて腰を下ろしてゆっくり休む。目の前が平らであるという事だけでなんと精神的に楽になる事だろう!!
「サァ~出発しよう・これからは頑張らないで頑張ろう」とリーダーの声???
そしてしばらくしてからその意味が理解できた。
7時間歩いた後なのに・・・目の前に急登が待っていた。最後にきてそれはないよ~ ガックリ!!
次は苔むした岩場の降り。つりそうな足に活を入れながらやっとの思いで阿曽原温泉小屋にたどり着いた。チェックイン手続きを済ませるとすぐに「丁度今、女性の入浴タイムだから明るいうちにどうぞ」と勧められ、何はともあれバタバタと休む間もなく露天ぶろに行く。これがまた一苦労。小屋のサンダルをつっかけて出かけたのは良いが、曲がりくねった山道を下る事10分ほど。四方何もない草むらの中に四角い露天風呂が一つ。大勢の女性がイモ洗い状態になっていたが、汗を流せただけで良かった。
今日一日の無事を祝って乾杯!!ク~ッ 夕食も大層な御馳走で大満足。
8時就寝

三日目(曇り後晴れ)
朝食後オーナーの佐々木さんが(元・富山県警山岳警備隊員で剣岳を中心に救助活動をしていた方)「昨夜空が妙に明るかったから早く帰った方がいいよ~」と呼びかけられていた。
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出掛けてくる時には日本を離れていったと思われた台風が、なんと方向を変えて日本に接近中なのである。
幸いにして今日も朝からお天気に恵まれて、折尾滝付近では紅葉を見ることが出来た。反対側は切れおちた岩壁沿いにあり対岸の切り立った山々はさすがに日本一深い峡谷である。
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大太鼓近辺は、岩をくり抜いて出来た道で、所々岩が頭の上に突き出ている。
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志合谷トンネル入り口でヘッドランプを付けたが、あまりに真っ暗いので、所々に溜まった水溜まりが分からずに、しぶきが跳ねる。150m程通過。
遠くで汽笛の音が聞こえたが、まだまだ先は長そうで、周りは相変わらずの風景である。
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欅平の駅舎が遥か下の方に小さく見えてきた。しかし降っても、降っても駅舎はまだまだ小さく、なかなか近づいてこない。森林帯の降りを抜け出すと急に明るくなり、黒部峡谷原生林の碑前の広場に出たァ~ やっと終わった!!みんなの笑顔最高!!
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黒部峡谷鉄道・欅平駅からトロッコに乗車する。
流れてゆく風景を見ながら安堵感と穏やかな空気が漂う。
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アメとアメ(ムチ)で力づけて下さったリーダーに心から感謝します。

山行形態  個人山行
山域  富山県
山行日 2012年9月27日~9月29日
天候  晴れ
メンバー  5人(180)

{コースタイム}
27 三島11:10=朝霧=大町温泉宿16:30()

28 宿6:00=扇沢7:30トロリーバス~黒部ダム8:00~内蔵助谷出会8:55~対岸ナメ滝9:50~別山岩屋~中ノガビン沢~対岸新越の滝10:25~大タテガビン沢~黒部
別山谷11:05/11:15~赤ムケノ壁~白竜峡~広河原~十字峡12:40~作廊合流点~半月峡13:50~東谷吊橋14:35~仙人ダム~人見平14:50/15:00~阿曽原温泉小屋16:10()

29 小屋6:30~折尾滝8:00~大太鼓8:55150mトンネル9:10~蜆谷10:00~欅平上部10:40~欅平駅11:25/12:46=宇奈月駅13:05/14:20=北陸道黒部IC=長野道=甲府南18:38=長泉20:20